リハビリテーション
筋力や筋持久力の向上、筋肥大を目的とした運動のことで、目的により様々な方法があります。筋力トレーニングは、関節を痛めた方やスポーツを行う方、怪我を予防するためにも重要なリハビリテーションの一つです。しかし、患者さん各々の状態や背景に合わせて正しい方法で実施しないと痛めてしまうこともあります。
筋力トレーニングは闇雲に筋肉に負荷を与え続けて行えばよいというものではありません。より効果的に正しく行う為に7つの基本的な原則があります。
筋肉はある能力を獲得するようなトレーニングを継続すると形態的、生理的な適応を生じます。目的や競技に特化した専門的なトレーニングを選択する必要があります。
例えば最大筋力をつけるのか、筋肥大をさせるのか、筋持久力をつけるのか、目的によってトレーニング内容を変更する必要があります。
生体は継続する刺激に対して適応する働きがあり、筋力を向上させるには通常の負荷よりもより高い負荷をかける必要があります。その結果、身体がその強度に耐えられるようになる事を過負荷の原則といいます。
トレーニングの量や強度は、段階的に増加させる必要があります。それに伴い技術も簡単なものから難易度の高いものに徐々に移行する事が重要です。同じ負荷でトレーニングを続けた場合、現状維持は出来ても強化はできません。
トレーニングの効果を効率的に獲得するためには目的や方法を十分に理解して実施しなければなりません。ただ同じ動きを繰り返すより、使う筋肉を意識してトレーニングを行うとより効果的です。
同じ部位や種目に偏ったトレーニングではなく、バランスよく強化しなければなりません。同じ部位ばかり繰り返し毎日トレーニングを行うと筋肉の疲労がとれず、せっかくのトレーニング効果が無意味なものになります。また、偏ったトレーニングは全身の筋バランスを崩し障害の原因にもなりえます。
年齢、性差、体格、体力、技術レベル、経験、健康状態、個人の精神的特性などを考慮して個々の状態に応じたプログラムを作成しなければなりません。
特に発達・発育におけるトレーニングを考える上ではこのような下図を利用します。(スキャモンの発育曲線)
20歳の発育を100として、各年齢の値をその100分比で示してある。それぞれの年齢により生理的な発育が異なるため、これらに考慮してプログラムを作成する。
例えばこの曲線の生殖器型をみると、急激にグラフが上がるのは14歳を過ぎてからです。
筋肉の発育には成長ホルモン(生殖器型)が必要不可欠!なので成長期である小・中学生では筋力トレーニングの必要性があまり見られません。(子供によって体格や成長の早さなど個人差があるため、グラフの年齢はあくまで目安となります。)
また、神経系型では5~6歳で約80%近くになるため、この時期までにいろいろな運動や遊びを経験させておくといわゆる「運動神経」が発達しやすいと考えられます。
トレーニングは一時的に行うのではなく、計画的に継続・実施しなければなりません。もし、トレーニングを中止した場合、獲得した効果はトレーニングをする前の状態に向かって変化してしまいます(可逆性)。また、短期間のトレーニングで得た効果ほど長期間のトレーニングよりも早く消失していくといわれています。
『スタビリティ』とは『安定性』を示す言葉であり、さまざまな動きの中では、静的な安定性もあれば、動的な安定性もあります。
コンタクトスポーツではタックルを受けても倒れにくいとか、体操やフィギュアスケートなどではジャンプや回転の時に軸がぶれないように安定性(スタビリティ)を強化します。
また体幹トレーニングをはじめとするスタビリティトレーニングを行うことでバランス能力の向上も望められます。
ただし、一言でスタビリティトレーニングといっても、ただ『トレーニングポジション』や『やり方』などを真似して行ってもあまり効果が得られません。適切な方法と意識する筋肉やポイントを把握して行うことで初めて効果的なトレーニングとなります。
詳しく知りたい方は理学療法士が指導しますので、ぜひお聞きください。