リウマチ
リウマトイド因子は、関節リウマチの診断を確定するものではありません。
「リウマチ反応」は早期では4割程度にしか陽性になりません。また、関節リウマチ患者の50%は、診断後1年から2年はリウマトイド因子陰性との報告があります。また、陽性となるまでに2年以上かかることもあります。また、肝炎の既往のある方や、キャリアーの方でも陽性を示す場合があります。
最終的には、関節リウマチ患者のおよそ75%から80%がリウマトイド因子陽性となりますが、正常者でも5〜10%程度陽性となり、他の多くの疾患においても約10〜20%陽性となるため、関節リウマチの診断を確定する検査ではありません。
関節リウマチ患者でも常にリウマトイド因子が検出されない関節リウマチも存在します。
リウマトレックスは現在、世界中のリウマチ治療において最も多く使われている薬であり、しかもリウマチ治療において基盤になる薬であります。
米国では、関節リウマチと診断された場合に、第1選択として使用することが推奨されている薬でもあります。このように積極的にリウマトレックスが使用されるのには理由があります。
以上のような利点がある割には、重大な副作用が起こることが少なく、数々の比較試験の結果をみても、リウマトレックスの効果をしのぐ内服薬剤は、既存の(生物学的製剤を除く)抗リウマチ薬のなかにはありません。
リウマトレックスは世界中において、リウマチのスタンダードな治療薬なのです。
決められた日に飲み忘れてしまっても、2回分を1度に内服しないでください。
飲み忘れに気づいたら、その分の薬は次の決められた日に内服するようにしてください。
リウマチで、自己免疫疾患(自分で自分の関節を攻撃してしまう)であり、病因は今も不明です。しかし、ある程度体質(遺伝的素因)が関与していると考えられています。そのため、風邪や怪我と違って、体質もろともきれいサッパリ治ることはありません。抗リウマチ薬を服用し、関節への攻撃を抑えることで、リウマチの活動性を低下させ、それ以上リウマチが進行しないようにすることは可能です。また生物学的製剤の使用により、治ったと同じ状態(治療を必要としない状態)に持っていくことも可能になってきました。早期に発見し、早期に治療を行えば行うほど、完治の可能性が高くなるのです。
今まで主に使われてきた抗リウマチ薬は、関節リウマチを起こしている免疫の異常を修復することで、症状を改善する働きがありましたが、これだけでは、多くの患者さんで十分に病気の進行を止めることができませんでした。生物学的製剤は、その免疫の異常を起こす炎症性サイトカインと呼ばれる物質(TNFα、IL-6等)の働きを止めるお薬で、関節の痛み・腫れを改善する効果や、関節の変形・破壊を止める働きが飛躍的に向上しました。 よりリウマチの根本を見据えた治療と言えるわけです。
ステロイドの使用をただやみくもに怖がることはありません。患者さんの状況に応じて上手に使えば、ステロイドは決して恐ろしい薬ではありませんし、消炎鎮痛効果は高く、リウマチの最も辛い症状である痛みをとってくれます。しかし、残念ながらリウマチの根本を治してくれるお薬ではありません。よって痛いからといって、安易に開始したり、増量をするより、リウマチ根本の治療をしっかりと確立させた上での補助薬という位置づけが望ましいのではないでしょうか。
すべての患者さんが一律に1か月に一度必ず検査が必要とは思いません。しかし、リウマチの患者さんは長期にわたって薬剤を投与しなければならないため、一番注意しなければならないのが副作用の発現です。副作用は必ず自覚症状が現れるものばかりではありません。症状ではわからない副作用、たとえば尿蛋白や血球減少、肝機能障害などを見逃さないことが重要なのです。自覚症状が出る前に、採血やレントゲン検査で発見し、対処しなければ手遅れになって、生命にかかわるような状況に陥ってしまう場合もあります。抗リウマチ剤の副作用は使い始めの3か月にでやすいものが多いので、使い始め、クスリの変更後3か月は毎月行なってもよいと思います。以後も2〜3か月に一度は検査をすべきです。副作用のチェックだけではなく、治療薬剤の効果を見ていく上でも検査は必要です。治療効果がなく、リウマチの病勢が強ければ、治療法の再検討が必要です。
関節リウマチは、関節以外にも様々な臓器に影響が出る全身疾患です。特に肺病変は、しばしば関節リウマチにともなって起こります。最初は軽い咳だけが主な症状ですが、感染を合併すると痰を伴ったり、進行すると動悸や息切れをするようになります。さらに進行すると呼吸不全になることもあります。間質性肺炎が存在すると、リウマチの薬物治療が非常に困難な状況に陥ってしまう場合もあります。こうした事情から、関節リウマチの患者さんでは、初診時、その後も必要に応じて胸部レントゲン写真を撮影することが勧められます。当院では3〜4か月、最低でも半年に一度は胸部レントゲンのチェックを行うようにしています。
抗リウマチ剤を使用してしばしば経験されることですが、最初は効果があり楽になっていたのに何年か(2〜5年)すると効かなくなって炎症が強くなってくることがあります。これを効果劣化あるいはエスケープ現象といいます。原因は不明です。
もともと関節リウマチは病勢に波のある病気です。朝がつらいが午後になると調子がよくなる、季節の変わり目に調子が悪くなる、さらに3年から5年周期の大きな病勢の波があるようです。この大きな周期の影響で病勢が強くなり炎症が抑えきれなくなるからだという説もあります。もしそうなら、待っていれば再び効くようになるはずですが、そういうことはないようです。やはり原因不明というしかないようです。
エスケープ減少がおこった場合、抗リウマチ剤を変更したりします。他の種類の抗リウマチ剤を追加併用することもあります。
リウマチでは、炎症の結果できるいろいろな細胞障害物質で軟骨が障害され、また滑膜パンヌス(肉芽腫)により軟骨や骨がこわされていきます。軟骨は、関節の運動によって関節液が軟骨の中へ浸みこんでいくことで、栄養を補給されていますから、関節を動かさないでいると、軟骨は栄養失調になり、防御力が低下し、こわれかたが速くなってしまいます。骨も動かして負荷をかけるようにしていないと次第にカルシウムが抜けてしまいます。使わなければ、当然、関節は固くなり、筋肉は痩せてしまいます。
このように運動は関節の破壊を防ぐのに大切なのです。しかし、炎症がある関節を動かすと炎症自体は強くなります。捻挫した関節を使い続けると痛みと腫れがなかなか引かないのと同じです。したがって関節の安静と適度の運動という、相反する点への注意が必要になります。ようするにバランスです。これさえしていればよいというのではなく、全体的に気を配らなければいけません。
基本的に痛くとも翌日に痛みや腫れが強くならない範囲ならばどんどん運動するように指導しています。なぜなら筋萎縮の予防と関節拘縮の予防が、患者さんの生活の質(Quality of Life)を良好に保つ最も重要な因子と考えているからです。