岡崎にあります「はまな整形外科クリニック」より腰痛の原因や治療についてご案内します。

腰痛 図2

腰痛は大きく2種類に分けられます。

それは特異的腰痛非特異的腰痛です。

特異的腰痛は医師の診察および画像の検査(X 線やMRI など)で腰痛の原因が特定できるものを言い、非特異的腰痛は厳密な原因が特定できないものを言います。腰痛の約85%は非特異的腰痛に分類されるといわれています。要するに、腰痛の大半は原因が特定できないと言えます。

特異的腰痛とは

原因が確定できる特異的腰痛は、医療機関を受診する腰痛患者の15%くらいの割合といわれています。

腰痛 図6

今から特異的腰痛の代表的な2大疾患をご紹介します。

腰椎椎間板ヘルニア

病態

腰椎椎間板ヘルニアは椎間板の障害であり、線維輪の断裂を通った髄核の脱出です。後方あるいは後側方に突出・脱出したヘルニアは馬尾や神経根を機械的に圧迫するとともに、化学的刺激によって同部に炎症を引き起こします。
ヘルニア

第4・第5腰椎の間の椎間板ヘルニア画像 (MRI)
ヘルニアMRI

発生頻度

30~40歳代に多く発症し、10歳代や60歳以上でも発症することがあります。

症状

主に急性に発症し、腰痛と下肢痛が出現します。それは、腰椎を前かがみにすることにより椎間板の膨隆による神経の圧迫が増すためです。

腰椎椎間板ヘルニアでは、機械的圧迫に化学的刺激が加わり、針で刺すような鋭い痛みとなります。

 

治療

【薬物療法】

・非ステロイド性消炎鎮痛剤
・アセトアミノフェン鎮痛剤
・筋弛緩薬
・ブレガバリン、ノイロトロピン
・弱オピオイド製剤

【注射療法】

・トリガーポイント注射
・硬膜外ブロック注射
・神経根ブロック注射

薬物療法、注射療法に関しては、いずれも、症状に応じて薬、注射の種類を選択します。

【リハビリテーション】

・運動療法(具体的には後ほど説明します)
・物理療法(干渉波、超音波、腰椎牽引など)

【手術療法】

手術療法は薬物療法、注射療法、リハビリテーション治療のあらゆる治療を駆使しても症状が改善せず、仕事や日常生活に支障をきたす場合の最終手段です。

腰部脊柱管狭窄症

病態

脊柱管が狭窄することによって発症する馬尾や神経根の障害です。原因は加齢に伴う椎間板、椎間関節、黄色靱帯の退行性変化で、脊柱管内の馬尾や神経根が機械的な圧迫を受けて、阻血やうっ血によって血流不全の状態となります。

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腰部脊柱管狭窄症MRI画像LSCS 2

発生頻度

60歳代に多く、先天性の素因や原因がなければ40歳未満はまれです。

症状

主に徐々に発症し、腰痛と下肢痛が出現します。腰部脊柱管狭窄症では、椎間板だけではなく椎間関節や黄色靱帯の変化を併せ持ち、腰椎を反ることで脊柱管の狭窄が増します。
そのため、前かがみで少し休めば楽になります。これを間欠的跛行と言います。こういった症状が出現したときは速やかに医療機関を受診することをお勧めします。

腰痛 図5(腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状の間欠性跛行)

治療

【薬物療法】

・プロスタグランジンE1製剤
・ブレガバリン、ノイロトロピン
・漢方薬 (牛車腎気丸、疎経活血湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、芍薬甘草湯)

治療薬の中心はプロスタグランジンE₁製剤で、このお薬は神経の血行を良くすることで下肢の痛みなどを改善する薬なので長期的に使用していきます。

【注射療法】

・トリガーポイント注射
・硬膜外ブロック注射

注射療法に関しては、症状に応じて選択します。

【リハビリテーション】

・運動療法(具体的には後ほどご説明します)
・物理療法 (干渉波、超音波、腰椎牽引など)

【手術療法】

手術療法は薬物療法、注射療法、リハビリテーション治療のあらゆる治療を駆使しても症状が改善せず、仕事や日常生活に支障をきたす場合の最終手段です。

非特異的腰痛

どこが発痛源であるかを厳密に断言できる検査法もなく痛みの原因を明確にできないものをいいます。原因は明確にできませんが、多くの患者さんに共通してみられるのは、身体の機能性の低下(柔軟性の欠如など)です。腰椎の機能性を例にあげると、腰椎の機能性が良いとされる人は、お辞儀をした時や反った時に腰椎が蛇腹のように動く方のことをいいます。しかし、腰痛患者さんの多くは腰椎の機能性が悪く蛇腹のように動きません。

腰痛

他にも腰痛の原因因子には、ストレスやメンタル・社会背景などさまざまな原因が深く絡み合っていることもあります。これらは単純に前述したような治療を行っても改善せず、腰痛 図4慢性疼痛となり患者さんを苦しめます。そのため当院では患者さんの腰痛の原因因子となるサインを見逃さないように関わっています。→治らない痛みについて


実際の診察から診断まで

問診

患者さんが「腰が痛い」と言っても原因は様々であり、誘因や経過、疼痛部位、合併症の有無などを確認させていただきます。非特異的腰痛で説明したように、心因性の痛みはストレスやメンタル・社会背景(仕事・学校・家庭など)と関係していることが多いです。そのため、あらゆる視点から痛みの原因を探っていく問診はとても重要と考えています。よって当院では診察前に患者さんから一つでも多く情報を聞き取るために看護師も問診を行っています。

触診

疼痛の部位、神経症状などから、その原因と障害部位を推察します。

また、患者様の体(股関節、腰背筋、大腿四頭筋、ハムストリングスなど)の柔軟性を確認し、腰痛を招いている要因を追求します。

腰痛 図8

検査

単純X線とMRI検査が一般的です。

X線では骨の形状、位置的変化(椎間の狭小、前後屈での不安定性など)腰椎の機能性の良し悪しを診断します。 場合によって、MRI検査もさせていただきます。当院にはMRIがありませんので、岡崎市民病院、岡崎市医師会公衆センターと連携をしており、撮影をお願いしています。

どのような治療をするのか

薬物療法としては、腰痛、下肢痛に対し第一選択は、非ステロイド性消炎鎮痛薬です。椎体周囲の神経組織の炎症を抑え、鎮痛を図る目的で使用します。また、筋弛緩薬を併用したりします。下肢痛が改善しない場合はブレガバリンや弱オピオイド製剤も使用したりします。

注射療法としては、圧痛点へのトリガーポイント注射、下肢症状の改善が乏しい場合に行う硬膜外注射があり、ここまでは外来でもできます。硬膜外注射でも効果が乏しく、強い神経根症状がある場合には入院しての注射療法を勧めています。これに関しては、関連総合病院等へ紹介しています。

また、症状によっては手術の適応になる場合があります。その際は手術の適応性を説明し患者さんが納得して頂いたうえで手術の行える病院を紹介しています。

そして、治癒過程にあわせたリハビリテーションを行います。急性期であれば干渉波、牽引など物理療法で疼痛を緩和させます。疼痛が緩和されたら、その後は腰痛を繰り返さないように、なぜ腰痛が出現したか理学療法士が個々に身体の評価を行い個々に合わせた運動療法を行いセルフストレッチを身につけて頂きます。

当院の腰痛治療に対するこだわり!

腰痛治療において最も重要なのは、なぜ痛みが出てしまったのか?を考えることです。そして、原因がわかったら、原因を直し、同じ失敗、痛みを繰り返さないようにすることです!原因の多くは身体の柔軟性の欠如や腰椎の機能性の低下などで、これらは努力しだいで治すことができるのです。多くの方は診断名にこだわりがちですが、なぜ痛みが出たのかと言う点にこだわり、セルフストレッチを行い痛みを出さない身体を作っていきましょう!

そして腰痛のない生活を手に入れましょう。

リハビリに関して詳しく知りたい方は、「リハビリテーションの脊椎・脊髄の障害に対するリハビリ」のページをご参照ください。