岡崎にあります「はまな整形外科クリニック」でのスポーツによる肩関節障害(野球肩)にならないための予防知識をご案内します。

野球肩(以後、投球障害肩)の症状

投球障害肩といっても、その病態は多岐にわたります。

 肩関節に痛みが生じた場合、骨端線離開(リトルリーガー肩)、関節唇断裂・剥離(SLAP lesion)など関節組織自体を痛めている状態やインナーマッスルと称した腱板損傷(肩の小さな筋肉)、上腕二頭筋長頭炎など肩関節周囲の筋肉を傷めている状態があり、患者さんによって痛めている部位は異なり当然治療方針も異なります。まずは医師による的確な診断が必要になります。痛みを我慢しながら投球を続けると複数の部位を痛めてしまい、症状が重篤化することがあります。投球時に痛みが生じた場合は、早期に病院を受診し的確な診断、治療を受けることが必要です。以下にリトルリーガー肩、肩板損傷について簡単に説明します。

骨端線離開(リトルリーガー肩)について

 成長期のお子さん(10歳~13歳頃)に生じる障害です。成長期のお子さんの骨は、成人と異なり強度が弱いため、下記の肩のレントゲン写真の様に骨(軟骨)が損傷してしまうことがあります。繰り返される投球での負担によって肩の前方に痛みが生じます。骨(軟骨)に問題が生じているため、一定期間投球禁止が必要になります。早期であれば1、2ヶ月、重症例になると半年間の投球禁止が必要になります。レントゲン撮影をしなければ症状の有無、回復過程がわからないため病院での検査が必要になります。原因の多くは不良な投球フォームにあり、治療としては投球禁止期間中にリハビリテーションにて投球フォームの改善を行います。(詳しくは『投球障害のリハビリ』へ)

リトルリーガー肩 新

腱板損傷について

 肩関節には、腱板という小さな筋肉が複数あり投球動作時に肩関節を安定させるために必要な筋肉があります(インナーマッスルと呼ばれています)。不良な投球動作や過剰な投球回数によって負担が大きくなるとこの筋肉に小さな損傷が生じます。レントゲンでは異常を発見できませんが、症状や超音波エコー検査や、MRI検査にて筋肉の損傷が確認できます。また、肩を真横から上げようとすると途中で引っかかるような痛みが生じることが多いことも特徴です。治療としては、単に傷んだ筋肉を鍛えるのではなく、姿勢や肩甲骨の動きの改善を中心に行い、投球フォームを改善につなげていきます。損傷が大きくなる前に適切な治療が必要になります。 (詳しくは『投球障害のリハビリ』へ)

腱板

投球障害肩はなぜ起こるのか?

一般的にはオーバーユース(使いすぎ)コンディショニング不足(不良フォームや体のメンテナンス不足)に関係してくるものが多いと思われます。そのため、投球数やフォーム改善を含めた指導を行わない限り、原因が解決せずに再発を繰り返すことになります。

 投球 改善流れ

 

コンディショニング不良と言っても
柔軟性の低下
筋機能の問題投球
フォームの問題
などが考えられます。

野球肩ということで、肩ばかりに目がいきがちですが、椅子に座って肩だけでボールを投げても全くパワーが出ないことからも分かるように、投球は下肢から回旋を利用し、増幅されたパワーを肩へ伝達することによりなし得るのです。
よって、コンディショニングは、痛めた肩関節だけではなく、下半身の柔軟性、筋機能の改善を図りながらフォームを改善することになります。
(詳しくは、『投球障害のリハビリテーション』へ)