リハビリテーション
投球動作によって生じる痛みや症状を総称して、「投球障害」といいます。当然ですが、投球動作に起因して生じます。しかし、投球している全ての選手に起きるわけではなく、過剰な投球量や不良なフォームによる過度な肩・肘の負担によって生じます。そのため、単に投球を禁止して安静にする、電気をあてる、マッサージをするような対症療法では、肩・肘にかかる過度な負担を改善できずに、痛みがなくなったとしても再発するケースが多々あります。そのため当院では「再発を恐れることなく、安心してスポーツを続けていくことができる”根本的な治療”」を治療方針とし理学療法士が投球フォームをチェックし再発しないようフォームの改善方法を指導しています。
投球障害は、痛みのある肩や肘の動作のみが原因ではなく、腰や下半身の使い方などを含めた身体全体のバランスが影響しています。つまり、根本的な治療には痛みのある部位だけに注目するのではなく、体全体の機能を評価する必要があります。
投球フォームとひとことでいっても、年齢や身体構造、野球歴やポジションの違いがあるように、それぞれに合ったものがあります。ですから、まずは患者さま一人ひとりの元のフォームを分析し、身体へ負担の原因となる動作を見極めます。そして、投球障害を起こさないようにするにはどうすればよいかを導き出し、新しい投球フォームをつくっていきます。
投球動作は、反射的に無意識に行われているものであり、単に『肘あげて』、『体が開かないように』と言っても何十球も考えながら投げることはできません。なぜ肘が下がるのか、なぜ体が開くのか、その原因を導き出し、体の機能(柔軟性、バランス)を変えることでフォームを改善していきます。再発のない、根本的な治療を目指して一緒ににがんばりましょう!
投球障害の治療は、多くの場合投球を禁止にすることで、痛みが消失します。しかし、再発予防のためにはフォーム改善が必要となります。
不良フォームの原因には
肩の柔軟性(関節可動域)の低下
柔軟性の低下筋機能の問題
投球動作のイメージ、体の使い方の不良などが考えられます。
野球肩ということで、肩ばかりに目がいきがちですが、椅子に座って肩だけでボールを投げても全くパワーが出ないことからも分かるように、投球は下肢からエネルギーを利用し、増幅されたパワーを肩へ伝達することによりなし得るのです。よって、治療の面では上肢のみならず、下肢、骨盤、胸郭すべてにおいて行っていきます。
投球障害のリハビリテーションは受動的なものではなく、患者さん自身にストレッチ、エクササイズを覚えてもらい、自身でコンディショニングを行えるように指導していきます。そうすることで、クリニックでのリハビリテーションが終了しても継続して身体のメンテナンスを行うことができます。
投球障害肩に対する評価について
2、下肢の柔軟性を評価します。
3、下肢のバランスや体幹機能の評価、トレーニング
上記はどれも投球動作に必要な下肢の筋肉です。上半身だけでなく下半身の柔軟性が大切になります。
では、鏡の前で自分の投球フォームをチェックしましょう。
投球障害の発生原因の多くは投球フォームの問題です。上記の様に投球フォームを区分していますが、加速期の肘下がりの原因がワインドアップ期の立位姿勢から生じていることもあり、問題を解決するためにはフォーム全体をしっかり観察しなければなりません。
投球時の痛みが出たら投球を中止し、自己判断せずに早めに受診しましょう。投球障害は再発を予防することが治療となるのです。そのためリハビリテーションしっかりと行っていくことが重要になります。
よく、少年野球のコーチから「もっと肘を上げて投げなさい。」「肩、肘が痛くなるのは筋力が弱いからだ。」などと、指導されたために肘、肩の痛みが起きたと訴え来院されるお子さんがいらっしゃいます。
確かに、野球をするのはお子さん本人ですが、その周囲にいるのは大人たちなのです。痛みを起こしてしまう原因には、周囲にいる大人たちにもあると思います。今後は、周囲にいる大人たちの病態に対する知識、認識が必要になると考えます。
そういった知識、認識を情報提供できるスポーツクリニックでありたいと私たちスタッフ一同はあり続けたい・・・そう考える毎日です