リウマチ
岡崎にあります「はまな整形外科クリニック」より関節リウマチについてよくあるQ&Aについてご紹介します。
健診などで、「リウマチ因子が陽性でした」と心配されて来院される方がおられます。
この採血マーカーは、関節リウマチ患者さんの20~30%は陰性になり、関節リウマチでなくても陽性となる場合があります。そのためリウマトイド因子単独での確定診断は困難と言えるでしょう。
関節リウマチを診断するには、患者さんの症状・レントゲン・その他の採血マーカーなどの結果を総合して診断します。
なので、「リウマチ因子陽性=関節リウマチ」とは言い切れません。
メトトレキサートは現在、世界中の関節リウマチ治療において最も多く使われている薬であり、しかも関節リウマチ治療において基盤になる薬です。
関節リウマチと診断された場合に、第1選択として使用される薬です。このように積極的にメトトレキサートが使用されるのには理由があります。
以上のような利点があるためメトトレキサートは世界中において、関節リウマチのスタンダードな治療薬なのです。
メトトレキサートに限らずどのお薬にも副作用は付きものです。メトトレキサートは長期に服用していくため、副作用を起こしていないか検査を受けて服用すれば決して怖い薬ではありません。
決められた日に飲み忘れてしまっても、2回分を1度に服用しないでください。
飲み忘れに気づいたら、その分の薬は飲まずに翌週(決められた曜日)から服用するようにしてください。次回の診察時にその旨を伝えてください。
関節リウマチは、自己免疫疾患(自分で自分の関節を攻撃してしまう)であり、病因は今も不明です。しかし、ある程度体質(遺伝的素因)が関与していると考えられています。そのため、風邪や怪我と違って、体質もろともきれいサッパリ治ることはありません。
しかし抗リウマチ薬を服用し、関節への攻撃を抑えることで、リウマチの活動性を低下させ、それ以上リウマチが進行しないようにすることは可能です。
早期に発見し、早期に治療を行えば行うほど、変形させず症状がない状態(治ったと同じ状態)で生活することも可能となりました。
抗リウマチ薬は、関節リウマチを起こしている免疫の異常を修復することで、症状を改善する働きがあるお薬です。
生物学的製剤は、その免疫の異常を起こす炎症性サイトカインと呼ばれる物質(TNFα、IL-6等)に直接働きかけるお薬です。
どちらの薬も関節リウマチの治療を行う上でとてもいいお薬です。症状に応じて薬剤を選択します。
ステロイドの使用をただやみくもに怖がることはありません。患者さんの状況に応じて上手に使えば、ステロイドは決して恐ろしい薬ではありません。
消炎鎮痛効果が高く、リウマチの最も辛い症状である痛みをとってくれます。最近では関節リウマチの初期治療に積極的にステロイドを使用してより早く消炎鎮痛を図るのが良いト言う報告もあります。
しかし、残念ながらリウマチの根本を治してくれるお薬ではありません。痛いからといって、安易に開始したり、増量をするより、リウマチ根本の治療をしっかりと確立させた上での補助薬という位置づけが望ましいのではないでしょうか。
当院で処方する場合は、もちろん合併症に考慮して処方しています。
すべての患者さんが一律に1か月に一度必ず検査が必要とは思いません。しかし、リウマチの患者さんは長期にわたって薬剤を投与しなければならないため、一番注意しなければならないのが副作用の発現です。副作用は必ず自覚症状が現れるものばかりではありません。
症状ではわからない副作用、たとえば尿蛋白や血球減少、肝機能障害などを見逃さないことが重要なのです。自覚症状が出る前に、採血やレントゲン検査で発見し、対処しなければ手遅れになって、生命にかかわるような状況に陥ってしまう場合もあります。
副作用のチェックだけではなく、治療薬剤の効果を見ていく上でも検査は必要なため当院では2~3か月に一度は検査を行っています。治療効果がなく、関節リウマチのコントロールが不良の場合に、治療法の再検討が必要だからです。
関節リウマチは、関節以外にも様々な臓器に影響が出る全身疾患です。特に肺病変は、しばしば関節リウマチにともなって起こります。最初は軽い咳だけが主な症状ですが、感染を合併すると痰を伴ったり、進行すると動悸や息切れをするようになります。さらに進行すると呼吸不全になることもあります。また副作用による薬剤性の間質性肺炎が存在すると、リウマチの薬物治療が非常に困難な状況に陥ってしまう場合もあります。こうした事情から、関節リウマチの患者さんでは、初診時、その後も必要に応じて胸部レントゲン写真を撮影することが勧められます。当院では3〜4か月、最低でも半年に一度は胸部レントゲンのチェックを行うようにしています。
関節リウマチだからと言って、運動をしてはいけないことはありません。関節リウマチのコントロールが安定したら運動、もしくはリハビリ(運動療法)を行った方がいいのです。
しかし、炎症(痛み)がある関節を動かすと炎症自体は強くなるので、このようなときに運動することはお勧めできません。したがって関節の安静と適度な運動という、相反する点への注意が必要になります。ようするにバランスが大切なのです。
基本的に痛くても翌日に関節の痛みや腫れが強くならない範囲ならばどんどん運動するように指導しています。当院では筋萎縮や関節拘縮の予防のためにリハビリで運動療法をしています。それは患者さんの生活の質(Quality of Life)を良好に保つ最も重要な因子と考えているからです。
※関節リウマチの症状が安定したら、積極的な運動を取り入れましょう!