腰椎椎間板ヘルニアと近くの病院で診断されました。手術をしたほうがいいでしょうか?

どちらも正しいとは言えません。何故なら、治療法は個々によって異なるからです。椎間板ヘルニアでいきなり手術を行うことはまずありません。まず、症状がどのようなものか、あるいはどの程度の痛みかということが問題だと思います。具体的に申し上げますと、ヘルニアの症状といっても、腰痛が主体のこともあれば、坐骨神経痛を代表とする下肢への疼痛が主体の場合もあります。また、それらの症状に対して行う、内服・注射・リハビリなどに反応を示し、症状が改善する傾向があるか。もしこれらの手術以外の方法で症状が改善されれば手術を行う必要はありません。

ただし、症状を抑えて喜んでいてはいけません。ヘルニアは患者さん自身が症状を再度出現させないように、うまく付き合っていく疾患です。すなわち、普段からストレッチや筋トレでヘルニアの部分に負担をかけないような体を作っていかなければいけません。そして、そのような努力をしていても耐えがたい疼痛が持続する場合は手術を勧めます。ヘルニアの手術は決して怖い手術ではありません。ただし、手術をしても腰に対するセルフリハビリを行っていかなければならないことは言うまでもありません。

手術をしたら必ず良くなりますか?

医療は人間の身体をあつかう行為であります。人間の身体は大変に複雑に出来ていますし、身体だけではなく心理的、精神的な側面もあります。痛みは物質的な身体の不具合ばかりではなく精神的な不具合にも左右されます。手術によりすべての症状が改善され、完全に元の状態に戻るか?と言えば、そうでない場合もあります。もちろん、改善の見込みがあるから、手術を行うのであり、手術の技術も大変発達してきましたので、手術治療の効果も何十年も前と比べるとかなり確実に得られるようになっていると考えられます。それでも必ずよくなるか?といわれると、100%Yesということは言いきれないと思います。

ヘルニアの手術をしても、なぜ症状が再発するんですか?

まず、椎間板の構造についてお話をします。
椎間板は、中央部の髄核というゼリー状の柔らかい組織と、その周囲の線維輪という組織で構成されています。
腰に負担がかかると線維輪に小さな損傷ができます。さらにそこへ荷重がかかり、裂け目から脊柱管に向かって髄核の一部が押し出されて神経を圧迫した状態が、典型的な椎間板ヘルニアです。
椎間板ヘルニアの手術では、神経を圧迫している髄核を摘出します。線維輪に生じた裂け目もやがてふさがりますが、線維輪の小さな損傷を繰り返し生じます。すると、手術をしても中央部には髄核が残っているので、残った髄核が脱出して椎間板ヘルニアが再発することがあります。

整体で骨盤や背骨のゆがみが腰痛の原因といわれましたが、まっすぐになおりますか?

まず第一にもともとゆがんでいる人はほとんどいません。本当の意味でのゆがみは側弯症ということになります。残念ながら側弯症は整体で矯正することは不可能だと思います。ゆがみと言われて来院されるほとんどの人が、疼痛性側弯です。すなわち、ゆがんでいるから腰痛になるのではなく、腰痛があるから痛くて、自然にゆがめて疼痛を少しでも抑制しようとする、身体の防御反応なのです。
ですから腰痛がとれれば、まっすぐになる人はいくらでもみえます。もちろん、腰痛の治療において、ストレッチをして柔軟性を高めてあげたり、筋トレをして骨盤の安定性を向上させたりすることは、極めて重要なポイントです。ただストレッチも筋トレも、人に施術してもらうのではなく、自分で行っていくものですね。ですから当院では、マッサージをして気持ちよくさせる治療ではなく、運動指導を中心に行って、自宅で、自分でリハビリを行えるように指導していきます。人間は必ず老いていくわけです。その予防は一生涯つづけていくものです。だからこそ自分でできるリハビリを覚えるべきなんですね。

腰痛には冷シップか温シップのどちらがいいのでしょうか?

確かにシップに温める、冷やすということを求めている患者さんは非常に多くお見えです。「アイシングしてましたか?」と質問すると、「はい!シップで冷やしてました!」とおっしゃる患者さんは多いです。これは大きな誤解です。シップは貼った瞬間にヒヤッとするだけです。試しに貼って1分してからはがしてみてください。シップの表面は体温によって温められており、冷たくありません。冷シップはメンソールがぬっており、ヒヤッとする感じがするだけで、温シップは唐辛子の成分がぬっており、ポカポカ感じるだけで、痛いところを直接温めたり、冷やしたりするものではありませんので、どちらでも気持ちいいと感じるほうで結構です。要はシップに求めるのは、シップに含まれている消炎鎮痛剤の効果のみです。