岡崎にあります「はまな整形外科クリニック」でのスポーツによる脊椎、脊髄の障害、主に腰痛、頚部痛についてご説明します。

図3

腰痛

 スポーツにおける腰痛発生のリスクファクターのひとつとして、腰椎や下肢の柔軟性の低下が挙げられます。それにより、間違った体の使い方をしてしまうため腰痛が発生します。

スポーツによる腰痛は、主に①体を反った時に生じる腰痛、②体を曲げた時に生じる腰痛が挙げられます。前者は伸展型腰痛、後者は屈曲型腰痛に分類されます。

①反った時の痛み ー伸展型腰痛ー

伸展型腰痛は、腰椎の伸展動作の繰り返しやそれによって引き起こされる腰椎の前弯増強により、椎体や椎間関節への過度な圧縮ストレスが加わり、椎間関節性の腰痛が発生します。また腰椎分離症も引き起こします。

スポーツ活動を行っている子で、体を反った時に腰痛が生じている場合は、腰椎分離症の可能性が高いです。出来るだけ早期に病院を受診し、検査をする必要があります。

図2

腰椎分離症

腰椎分離症は、成長期における代表的なスポーツ障害で、椎弓の関節突起間部 に起こる疲労骨折です。スポーツをしている14歳前後の男子に最も多く、スポーツの練習で体を反ったり、回したりすることが繰り返される場合に起こります。

一般人における分離症の発生率は約6%とされているのに対し、スポーツ選手では、15~40%に認められます。

症状は、腰を反った時の痛みが特徴的です。

診断には、X線写真斜位像、CT像、MRI像が用いられます。CT像は、分離症の病期判断、MRI像は、早期診断に有用です。         

図9

分離の程度によって初期、進行期、終末期に分類され、それぞれの時期により治療が異なります。

図

        (脊髄脊椎ジャーナル 25 2012 西良らの報告より引用 一部改)

治療

腰椎分離症の治療は、骨癒合をさせることが第一になり、分離部が動いてしまわないようにコルセットを着用し固定します。

しかし骨癒合を得られないまま、放っておいてしまうと偽関節となり、その部の滑膜炎が起こったり、骨の連続性が断たれるため、腰椎の不安定性が増大し、将来腰椎すべり症になるリスクが高くなります。

そういった状態にならないようにするために、腰椎分離症初期の新鮮例においては、早期から骨癒合をはかることが大切になってきます。そして3か月後にCT像を撮影し、骨癒合の有無を確認します。

当院では、スポーツ休止中の期間にストレッチ、筋力トレーニング、動作指導を行い、再発予防、スポーツ復帰が行えるよう身体づくりを行っていきます。

②曲げた時の痛み ー屈曲型腰痛ー

屈曲型腰痛の多くは、前屈み動作や中腰姿勢、不良姿勢により起こります。前屈み姿勢や不良姿勢による椎間板への繰り返しストレス、腰背部の筋への持続的なストレスにより、腰椎椎間板ヘルニアや筋膜性腰痛の発生因子になります。図1

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の中の髄核が線維輪から飛びだして神経を圧迫し、腰痛や下肢痛をきたします。ヘルニア

20代〜30代以降にかけて最も多いとされています。椎間板は加齢により変性します。椎間板変性は若年層においても認められる変化であり、10歳代でさえもしばしば認められます。前屈みの姿勢や重い物を持ったり、不良姿勢が続くことによりに起こります。

症状は、前屈した時の痛みが特徴的です。また、ヘルニアの圧迫が神経根に及ぶと下肢痛も出現します。

治療は、注射や内服による消炎鎮痛、安静からコルセット、牽引療法、温熱療法、電気治療などを行います。疼痛が強い時期に運動療法を行っても逆に悪化させる場合もあります。痛みと筋収縮の悪循環に陥る前に、早期に除痛を行う必要があります。

急性期を過ぎたら、ストレッチなどを行い、ヘルニアの症状を出さないような体づくりを指導して、自宅で行ってもらうようにしてきます。

筋・筋膜性腰痛

筋・筋膜性腰痛は、腰部背筋群やその筋膜に由来し、腰痛の原因として最も多いとされます。

腰椎に機械的ストレスが加わると、脊柱起立筋群やその椎骨への付着部に存在する痛みの受容器が興奮し、急性痛が引き起こされます。また中腰姿勢や急な腰椎運動時の激しい筋収縮や筋攣縮に伴う筋虚血は、疼痛の原因にもなります。

スポーツにおいては、筋に短時間の大きな負荷や長時間の反復動作に伴う負荷、また左右非対称の負荷を生じることが多く、筋や筋膜に障害が生じやすいです。

急性の筋・筋膜性腰痛は多くの場合、筋組織の損傷自体が治癒する3週間以内に寛解するとされています。一方、炎症が持続すると損傷組織の治癒が遅くなり、慢性の筋・筋膜性腰痛に移行します。

急性期には、スポーツ活動を軽減または休止し、損傷組織の安静を保ちます。また運動療法で、ストレッチの指導、筋力強化、動作指導、不良姿勢の改善を行い再発予防をします。

 

リハビリは脊椎、脊髄に対するリハビリテーションについてでご説明します。

頚部痛

図7スポーツにおける頚部痛は、ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツに多くみられます。 多くの場合は対症療法として局所安静、鎮痛、牽引療法、電気治療を症状に応じて組み合わせます。その後、ストレッチ、筋強化の指導を行います。

 

頚部捻挫

頚椎における伸展、屈曲、回旋などの急激な動作が原因です。
症状は軽度のものから重度までさまざまです。ひどい場合は頚髄損傷を起こし、上肢、下肢に麻痺を生ずる場合もあります。このような場合は、入院、手術になることもあります。

バーナー症候群

衝突時に頭部が相手の体に接触し、頚椎が後方や後側方に反らされるために起こります。それによって、頚部から肩や腕に走行している神経の根元である神経根が一時的に損傷を受け、しびれ、感覚の異常、筋力低下(脱力)などの症状が起こります。症状は一過性で、自然に回復していきます。

 

リハビリは脊椎、脊髄に対するリハビリテーションについてでご説明します。