リウマチ
岡崎にあります「はまな整形外科クリニック」より関節リウマチについてご案内します。
関節リウマチの薬物療法は、この10年で急速に進歩しました。有効な治療により多くの患者さんが通常の日常生活を送れる時代を迎えました。慢性疾患という概念がなくなり呼び方も
慢性関節リウマチ→関節リウマチへ改められました。(2002年)
一方、発症して何十年も経過しすでに関節変形が進行したために、不自由な日常生活を余儀なくされている方々もおられます。また、抗リウマチ薬ではなく痛みだけをコントロールしている治療を受けている方もおられます。
関節リウマチの治療目的は、単に痛みのコントロールをするのではなく、関節破壊の抑制や日常生活・社会生活などがいかに支障なく営めるかではないでしょうか。
メトトレキサート製剤(抗リウマチ薬)を代表とする免疫抑制剤により関節変形が抑制できるようになりました。また関節リウマチが起こるメカニズムに直接働きかける生物学的製剤が使用されるようになりました。
関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊され、関節が変形し機能が損なわれてしまう病気です。これらは、免疫の働きに異常が生じたために起こると考えられます。
下記に示した診断基準に基づき、レントゲン・血液検査・診察(触診・視診)で診断します。
関節病変 | |
---|---|
中・大関節に1つ以上の腫脹または疼痛関節あり | 0点 |
中・大関節に2~10個の腫脹または疼痛関節あり | 1点 |
小関節に1~3個の腫脹または疼痛関節あり | 2点 |
小関節に4~10個の腫脹または疼痛関節あり | 3点 |
少なくとも1つ以上の小関節領域に10個を超える腫脹または疼痛関節あり | 5点 |
血清学的因子 | |
RF、ACPAともに陰性 | 0点 |
RF、ACPAの少なくとも1つが陽性で低力価 | 2点 |
RF、ACPAの少なくとも1つが陽性で高力価 | 3点 |
滑膜炎持続期間 | |
<6週 | 0点 |
≧6週 | 1点 |
炎症マーカー | |
CRP、ESRともに正常 | 0点 |
CRP、ESRのいずれかが異常 | 1点 |
人間ドックなどで、「リウマトイド因子が陽性でした」と心配されて来院される方がおられます。
この採血マーカーは、関節リウマチ患者さんの20~30%は陰性になり、関節リウマチでなくても陽性となる場合があります。そのためリウマトイド因子単独での確定診断は困難と言えるでしょう。
発症早期やリウマトイド因子陰性例にも検出され、これまで関節リウマチを発症早期から的確に診断することに困難もありましたが、抗CCP-抗体は早期診断と早期治療を行う上で有力な情報となるでしょう。関節リウマチの感度・得意度に優れています。しかしながら中にはこの値が検出されないケースもあります。
身体の炎症の程度が強くなると値が高くなります。関節リウマチのコントロール不良になると高値を示します。
※血液検査の結果で異常がなくても、関節リウマチの典型的な症状を呈していたり、レントゲン画像で骨浸潤がある場合は、関節リウマチに準じて治療を開始することもあります。
そのため、関節リウマチの症状を疑う場合はリウマチ専門医に受診しましょう。
※検査をして関節リウマチではないと診断されても、生涯関節リウマチにならないと言うことではないので、気になる症状があれば医師の診察を受けましょう。
従来の予測では、発症してから徐々に関節破壊が進行し10年経過した頃からいっきに悪化すると考えられてきました。しかし、現在は発症してから2年くらいで最も関節破壊が起こると分かってきました。
そのため、以前のような消炎鎮痛剤から内服を開始し症状が改善されなければ抗リウマチ薬といった治療は時代遅れであり、発症早期に積極的な治療を行うことで関節破壊を進行させないと言う治療が主流になっています。
関節変形が最も早い時期に最良の治療を行う上で、早期診断は必要不可欠になります。
簡単ではありましたが関節リウマチについて理解いただけましたか?
次にどのように治療していくのかご説明します。