岡崎にあります「はまな整形外科クリニック」より股関節痛の原因や治療についてご案内します。

股関節はたくさんある関節の中でもとても大切な関節の一つです。立つ、歩く、座る、走る、跳ぶなどの日常の生活動作に欠かすことのできない関節です。股関節痛いこの股関節に痛みがあると、日常の生活動作が制限されてしまい、何をするにも痛みを伴い楽しく毎日を送ることできなくなるかもしれません。

股関節痛の原因の代表的なものには生まれつき股関節の作りに問題がある臼蓋形成不全変形性股関節症があります。股関節は変形が進行すると歩行困難となるため人工関節にする手術をせざるを得なくなるケースもあります。

しかし人工関節にも寿命があり少しでも手術時期は遅らせたいものです。そのため、いかに変形を遅らせるかが重要でリハビリテーションが欠かせません。患者さん自身が変形をさせないようにどのようなリハビリをしたらいいかを理解し実践していくことが予後を大きく左右するといえます。

また、変形など構造上の異常のほかに、身体の硬さが原因で痛みが出てしまうこともあり、これもリハビリテーションでメディカルチェックを行い硬さをとっていくことで改善するのです。

病態の前に正常な股関節の構造を説明します

股関節は、骨盤と大腿骨で形成された球関節です。大腿骨の上端の丸い骨頭が骨盤のくぼみ(寛骨臼)にはまり込むようになって、関節を形づくっています。  股関節股関節は体重が大きくのしかかる為、関節包は強靭な靭帯で補強されています。球関節とは球状に形成されている関節の事で、他の関節に比べて可動域が広く、自由性の高い形状の関節です。周囲の筋肉によって前後、左右、あるいは回旋したりと、自在に動かすことができます。球関節は肩関節と股関節の2つがありますが、股関節は肩関節に比べて可動性は劣るものの、その分安定性が高く大きな負荷には耐えられるように作られています。

臼蓋形成不全

臼蓋形成不全とは

骨盤の形態異常のことで、臼蓋の被りが浅く股関節が不安定なことをいいます。生まれつきの股関節の発育異常(先天性)が原因となっている場合もあるといわれています。

アジア人に多く、特に日本人に多い、股関節痛のある患者さんの約8割は臼蓋形成不全を有しているという報告もあります。後から説明する「変形性股関節症」の発症リスク因子と考えられています。
ちなみに、男女比は1:7で女性に多いのが特徴です。


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臼蓋形成不全といわれたら・・・

早期発見の難しい疾患ともいわれています。
現在は乳幼児3ヶ月健診で先天性股関節脱臼がないかどうかをチェックしているため少なくなっているいるようですが、健診では異常が確認されなかった、健診を受けていないなどもあり、大人になって股関節が痛くて、レントゲン検査をしたら発覚するケースが多いのです。臼蓋形成不全は将来的に、後に説明する変形性股関節症になりやすいため、臼蓋形成不全と指摘されたら、股関節を変形させないようにリハビリを毎日続けることが最も重要です。

変形性股関節症

変形性股関節症とは

変形性股関節症とは、股関節の形の異常や老化が原因で、股関節の軟骨が徐々に磨り減り、骨を含めて関節が変形します。変形が進むと痛みで歩行が辛くなったり、靴下を履く動作がしにくいなどの機能障害をまねきます。
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早期発見の重要性

変形性股関節症の治療において一番大切なことは、なるべく早期に診断を行い早期から変形予防の対策をとることです。なぜなら、変形性膝関節症など他の関節症と異なり対症療法の効果が乏しいためです。要するに進行をさせてしまうと人工関節置換術以外に痛みをとる方法がなくなってしまうということです。

症状

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  • 立ち上がりや歩き始めに脚の付け根が痛む
  • 靴下を履く姿勢がしにくい、足の爪切りがしにくい
  • 長時間立っていると痛む
  • 歩行時の痛み
  • 和式トイレの使用ができない
  • 正坐ができない

原因

変形性股関節症には一次性股関節症と二次性股関節症があり、一次性股関節症は原因が明らかでないもので、二次性股関節症は発育性股関節形成不全の後遺症や臼蓋形成不全、外傷や感染症などが原因でおこるといわれています。ちなみに、日本人は変形性股関節症の80%が二次性股関節症です。

最近は高齢社会となり、特に明らかな原因となる病気に罹ったことがなくても年齢とともに股関節症発症してくるケースも増えているそうです。 

保存療法

保存療法は大きく二つに分けられます。痛みを緩和させるための対症療法と変形の進行を遅らせる予防療法です。

1.痛みを緩和させる薬物療法

関節痛が強い場合には炎症を抑える目的で消炎鎮痛剤などを処方します。
股関節の痛み(炎症)が続くと、関節の変形を進行させる可能性があるため股関節が痛い時は医師に相談しましょう。

2.変形の進行を遅らせるリハビリテーション

股関節はたくさんの筋肉によって支えられている関節です。股関節の安定を図るために股関節周囲の筋力を高める必要があります。筋力トレーニングというと水中歩行が代表的ですが、毎日にプールに通い続けるの実際問題大変なことではないでしょうか。そのため当院では毎日自宅で行える股関節周囲の筋力トレーニングの指導を行っています。

yjimage[1]また、変形性股関症の誘因に肥満が挙げられています。なぜなら股関節は片脚立ちの状態で体重のおよそ3~4倍の重さがかかり、歩行時は着地の衝撃も加わり体重のおよそ10倍の重さになるという報告もあります。だからこそ体重管理はとても大事です。
当院ではリハビリテーションの中で、体重管理のアドバイスも行っています。

詳しくは「リハビリテーションの下肢のリハビリ」のページご参照ください。

手術療法

日常生活で耐え難い支障がある場合に手術療法を選択します。変形の進行状況や年齢、社会的、家庭的環境などで手術の種類が異なります。

  • 初期股関節症 ⇒ 骨切り術
  • 進行期股関節症 ⇒ 骨切り術 または 人工股関節置換術
  • 末期股関節症 ⇒ 人工股関節置換術

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当院では手術適応と判断された場合は、手術の行える病院へ紹介致します。