岡崎にあります「はまな整形外科クリニック」より、スポーツによる下肢(膝・足関節)の外傷・障害に関してご説明します。

主な外傷・障害

スポーツによる下肢の主な外傷・障害は、前十字靭帯損傷、半月板損傷、ジャンパー膝、肉離れ、オスグット病、足関節捻挫、シンスプリント、疲労骨折です。(障害と外傷については「スポーツ障害」の項目参照)

膝の圧痛部位について

膝関節の主な障害・外傷の圧痛部位についてご説明します。

膝関節圧痛部位

これらの部位に指で圧迫を加え痛みが増強する場合、下記の障害が考えられます。

①大腿四頭筋炎
ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)
③オスグット病
④膝蓋軟骨軟化症
⑤タナ障害
⑥内側側副靭帯損傷
⑦内側半月板損傷
足(がそく)炎
腸脛靭帯炎
⑩外側半月板損傷
⑪外側側副靭帯損傷

②膝蓋靭帯炎、⑧足炎、⑨腸脛靭帯炎マラソンランナーに多く見られる疾患であり、これらをランナー膝と呼ぶこともあります。

膝の組織について

膝の組織をご説明します。
この絵を参考にしていただければ、下記の障害について、どの部分が障害を受けているのかわかりやすいと思います。

画像:膝組織図1

画像:膝組織図2

前十字靭帯損傷

ラグビーなどのコンタクトスポーツ、柔道などの接触外力とバスケット、バレーボールなどでの着地動作で起こりやすい外傷です。
いったん損傷すると自然治癒力に乏しく、膝の不安定性に直結します。
レクリエーション程度のスポーツなら筋力トレーニング、装具装着にて復帰可能ですが、競技レベルとなると再建術が必要になります。

画像:前十字靭帯断裂像

前十字靭帯の断裂です。バスケットボール、ラグビー、柔道の選手によく起こります。リハビリである程度の安定性は得られ、日常生活での支障は、さほどないこともありますが、リハビリを怠ると将来的に変形性膝関節症に移行しやすいと言われています。また、競技の継続には手術を勧めます。

半月板損傷

半月板は弾性に富んだ線維軟骨でできていて、大腿骨と脛骨の内側、外側のすきまにあり、関節の適合性を良くして安定性を与え、荷重ストレスを吸収分散するクッションの役目もしている三日月形のものです。

この半月板は膝にひねりが加わるスポーツ活動で損傷を来すことがあります。内側半月板損傷はスポーツによる外傷で発症することが多く、外側半月板損傷は生まれつき半月板が大きい場合(円板状半月板)に発症することが多いのが特徴です。
半月板損傷には、単独で起こる場合と靭帯損傷に合併して起こる場合とがあります。

スポーツ選手に限らず、「よく膝に水がたまる」とか、「階段を降りたり、しゃがんで立ち上がる時に、またスポーツで左右にステップを踏もうとして、膝に痛みやひっかかりを感じる」と訴えてくる人が多くいます。このような症状が出た場合、まず半月板損傷が疑われます。

膝関節のイラスト

原因

半月板損傷の原因として以下のものが考えられています。

  1. 外傷に起因するもの
  2. 先天的な形状に起因するもの
  3. 加齢変化に伴い生じるもの

症状

急性期には突然の激痛と運動制限を生じ、膝関節の嵌頓であるロッキングを生じることがあります。また、損傷が半月板辺縁までに及んでいる場合は関節血症を認められる場合もあります。
慢性期では、スポーツ動作時、階段の昇降時、長時間の歩行などの運動時に痛みを生じ、轢音(クリック)、ひっかかり(キャッチング)、及び膝くずれを生じる場合もあります。

診断方法

膝関節に上記の症状が発生したら、まず整形外科専門医を受診し、傷害の内容や程度を把握すべきです。半月板はレントゲンに写りません。診断はMRI検査が有用です。以前は、関節造影が主流でしたが、MRI検査であれば、人体に無害で侵襲もなく、診断率も90%以上と非常に高いので、最近では関節造影を行うことは少なくなってきました。最終的には、関節鏡検査を行って確定診断を下します。

治療

治療方法としては、大きく分けて保存的治療と外科的治療にわけることができます。
半月板損傷は従来、その機能が過小評価され切除術が広く行われてきました。
しかし、半月板の機能の重要性や切除後の関節軟骨への障害が報告されるようになって、近年では出来るだけ半月板の機能を温存することを治療の原則として考えられるようになってきています。
多くは保存的治療で症状が軽快します。初期には局所の安静、関節穿刺〈せんし〉による関節液の吸引、局所麻酔剤やステロイド剤(消炎効果)の注入、最近ではヒアルロン酸注射を行います。膝関節軟骨の成分でもあるヒアルロン酸は、水分の保有率が高く、関節軟骨や半月板が傷ついたとき、関節の潤滑油やクッションの代わりになり、動きをよくするからです。

また、ヒアルロン酸の関節注射と同時に下肢・体幹の筋力増強訓練や下肢のストレッチも重要です。リハビリを怠ると将来的に変形性膝関節症に移行しやすいと言われています。

保存的治療・外科的治療を選択するかは

  1. 半月板の損傷部位
  2. 患者様の要求
  3. 臨床症状(ロッキングの有無、ひっかかり…)
  4. 合併損傷(靭帯損傷の有無)
  5. 断裂の仕方
  6. 日頃の活動性(スポーツレベルや職業など…)

を考慮して治療法を決定していきます。

クリニックでは手術をおこなっていませんので、手術を希望されるかたは岡崎市民病院、安城更生病院などに紹介させてもらっています。

ジャンパー膝

バレーボール、バスケットボール、サッカー、陸上などの競技でよく起こるものです。
シェーマにも示した膝蓋靭帯の膝蓋骨付着部への繰り返される牽引力が原因です。
年齢は15歳くらいの成長期に多く発症します。
大腿四頭筋の膝蓋骨付着部側にも起こり得ます。
急性期は消炎鎮痛処置、その後、下肢のストレッチや下肢・体幹の筋力増強訓練を行います。

肉離れ

スポーツをある程度やっていれば一度は経験があるかもしれません。
コンタクトスポーツなどの直達外力で受傷するものもあれば、単に日頃のストレッチ不足で起きてしまうものまでさまざまです。
軽い炎症だけのものから、筋肉の断裂、血腫を呈するもの、さらには骨化性筋炎に移行するものまであります。
治療としては、まず局所安静、アイシングです。
その後リハビリにてストレッチや筋力強化を行います。

Osgood-Schlatter(オスグッド病)

Osgood-Schlatter(オスグッド病)とは…

オスグット病のイメージイラスト10〜15歳の成長期のスポーツ少年に多く発生します。脛骨粗面(膝蓋骨(しつがいこつ)の約3cm下の骨の出っぱり)がさらに突出して痛みや腫脹を起こす障害をいいます。

発症メカニズムは、この年齢では脛骨粗面の骨端線がまだ閉じていないため、大腿四頭筋の収縮による力が膝蓋腱を介してこの部位に繰り返し加わって損傷を受けることと、骨の成長に筋肉や腱の成長が追いつかないため、相対的に膝蓋腱を介してこの部位に強い牽引力がはたらくことによって、骨端線に剥離や炎症が生じて発症すると考えられています。
成長期を過ぎると骨の成長も止まり骨端線は徐々に閉じていきますのでオスグッドはほとんど発症する事がなくなります。

オスグッドの主な症状は…

  • 運動時に強い痛みを発症する
  • 膝の下部(脛骨粗面)に腫れがみられる
  • 膝の下部(脛骨粗面)に熱感がみられる
  • 膝の下部(脛骨粗面)に圧痛がみられる

などの症状がみられるのが特徴です。

両側同時に症状を発症する事もありますが、大半のケースは片方の膝下に発症します。

初期症状では、運動時以外は痛みを生じる事が少なく、発見が遅れるケースが多いのもオスグッド病の特徴のひとつでもあります。

スポーツ指導者の方、ご家族の方は、お子さんが膝の痛みを訴えなくても定期的に脛骨粗面の圧痛(上記圧痛部位参照)の有無を確認することで早期発見ができます。

クリニックに受診される方の中には、膝の痛みを我慢しながら運動を続けたために、レントゲンを撮影すると、すでに遊離骨片を有している方も多くいます。
膝の痛みが出たら、早期に受診されることをオススメします。

治療方法は・・・

オスグッド病では稀に、脛骨粗面が大きく剥離してしまい、その剥離した骨が遊離した状態になった場合のみ、摘出手術を行う事もありますが、このケースは非常に稀なケースで、保存療法が原則であります。

保存的療法といいましても

  1. 消炎鎮痛剤の湿布
  2. オスグッドの専用サポーター
  3. 運動中止、運動量の抑制

だけでは根本的な治療にはなりえません。

1~3の治療もオスグッド病の治療としてはどれも大切なのは事実です。しかし、1~3の処置をして痛みがよくなり、運動を再開したらまた痛みが再発してしまうでしょう。冒頭でも示しましたように、オスグッド病は、大腿四頭筋という太ももの前面にある大きな筋肉が、成長しきっていない膝の前面の骨を引っ張り(牽引力)、骨をはがしてしまうために起こるものです。逆に考えると大腿四頭筋が骨に対して牽引力を働かせないようにすることが本当の意味での治療であり、予防の鍵であると考えられます。
そのため、膝関節可動域・大腿四頭筋・ハムストリング(大腿後面の筋肉)等の柔軟性の獲得を目的としたストレッチが重要となってくるものだと考えます。

ストレッチの実際

太もものストレッチ写真1 太もものストレッチ写真2
太もも(大腿四頭筋)

ふくらはぎのストレッチ写真
ふくらはぎ(腓腹筋)

裏もものストレッチ写真 裏もものストレッチ写真
ハムストリング(裏もも)

これらのストレッチはほんの一部です。

シンスプリント

これもスポーツをする若い方に非常に多い障害です。
陸上、野球、バスケットボール等で多発します。下記の部位に痛みが出現し圧痛を認めます。
過労性の障害と考えられていますが、安静を保つだけでは症状を繰り返す場合がほとんどです。リハビリにて障害の原因となった筋肉の硬さの改善や下肢・体幹の筋力強化、ランニングフォームの改善を行う必要があります。

シンスプリント

 

足関節捻挫

足関節捻挫とは・・・

足関節あるいは足関節・距骨下関節複合体に加わった外力による、靭帯を中心とした軟部組織の損傷のことである。捻挫は、足部肢位によって内反捻挫と外反捻挫に区別される。ただ、捻挫の大部分は内反捻挫です。
足関節(距腿関節)は荷重中間位(底背屈0°)では骨性の安定性が高い関節であるが、底屈位では内・外側靱帯の安定性への関与が大きくなります。また、距骨下関節は外がえし方向に可動域が少なく骨性に安定しているが、内返し方向には可動域が大きく、距踵関節間の靱帯が安定性を支えています。そのため、足関節捻挫の多くは足関節底屈内反の内返し捻挫であり、足関節外側靱帯、特に底屈位で緊張するATFLを損傷しやすく、さらに重症になるとCFLも損傷します。

捻挫は軽視されがちだが実は・・・

クリニックにも、毎日たくさんの患者さんが『足を捻った』、『足をくじいた』と来院されます。
足関節内反捻挫はスポーツ活動で最も多発する外傷の一つです。受傷後治癒が不十分な状態であっても痛みに耐えつつスポーツ活動に参加できる場合が多いためか、選手やその家族、指導者は『痛みがあってもテーピングを巻いてさえいれば普通に運動をしても大丈夫』と理解されている方が非常に多くいるように思えます。
しかし、不完全な状態でスポーツ活動を再開することにより不安定性・筋力低下・可動域制限・代償運動・ステップ動作やフォーム異常などが残存し、さまざまな機能低下や疼痛。捻挫の再発などの後遺症を招きやすいのが特徴です。

足関節の解剖について

足関節のイラスト

足関節のイラスト

代表的な靭帯損傷の部位

靭帯のイラスト

1.前距腓靱帯:ATFL(anterior talofibular ligament)

距骨の前方への動きを抑えて、底屈時まで緊張し内反を規制する。
足関節靱帯損傷で損傷される頻度が最も多い。

2.踵腓靱帯:CFL(calcane-ofibular ligament)

足関節0°での内転のとき緊張し、底屈時には弛緩する。前距腓靱帯と合併して損傷が多く、内返しストレスX線での距骨傾斜角:TTA(talar tilt angle)が大きくなる。

3.後距腓靱帯:PTFL(posterior talofibular ligament)

外側靱帯の中で最も強靭な靱帯で、底屈時に弛緩する。
過度の背屈によりまたは、ATFL・PTFLの断裂後に損傷する。

足関節内反捻挫における組織損傷の程度による分類

Ⅰ度(軽度損傷)

足関節の外側靱帯に圧痛があるが、歩行や関節運動に際して、支障を来すほどの痛みはほとんど無いか、あっても軽い。(多くは、外側靱帯の軽度損傷。)

Ⅱ度(中程度損傷)

足関節が著しく腫れて、歩行や関節運動に際して痛みを伴い困難。自動的・他動的に関節を動かすことが可能であるが非常に痛みを伴う。(多くは、外側靱帯の部分断裂。また、内側靱帯や脛腓靱帯の損傷を伴う場合もある。)

Ⅲ度(重度損傷)

足関節が著しく腫れて、歩行や関節運動はほとんど不能。自動的・他動的に関節を動かすことも痛みのために非常に困難。また、他動的な関節運動に際し正常では有り得ない異常可動性がみられることもある。

治療法は

現場での急性期治療については、受傷早期の腫脹と疼痛を軽減する目的とするRICE処置(Rest :安静、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)が基本となります。
患部の腫脹が進行する前に足関節を良肢位に固定し、アイシングと圧迫を繰り返すことが最優先になります。(RICE処置について後ほど説明します)
急性期の治療が終わると、靭帯損傷のグレードや患者様の生活背景などを考慮して治療方法を選択していきます。

ギプスをしている写真 ギプスをしている写真
ギプス固定

サポーターで固定している写真
サポーター固定

テーピングで固定している写真
テーピング

スポーツ現場でよく見かけるテーピングについては恒久的な効果は望めないため、限られた時間内での使用には意義はあると考えられますが、長時間使用することは、筋委縮や運動のセンサーである固有感覚受容器への悪影響を考えるとすすめられるものではありません。

正しく治療を受けないと・・・

捻挫のレントゲン写真 捻挫のレントゲン写真

捻挫はクセになる??

しっかりとした治療を行わず、関節の不安定性が残存した状態でスポーツ活動への復帰をしてしまうと、捻挫を繰り返して将来的に陳旧制の病態や軟骨損傷といったさらに大きな障害を招くことになるということを覚えておかなければいけないと思います。
一般的に安静固定が保持できれば約2週間で傷ついた靱帯などが修復されていきます。修復された靱帯は、瘢痕という組織でしばらくの間、補強され数ヶ月後にはほとんど元の組織に回復します。この瘢痕が存在する時期は、捻挫を再発しやすい時期でもあります。瘢痕組織は、捻挫で傷ついた靱帯などから出血した血液が繊維化して固まり、そこに結合組織の線維芽細胞が活躍して瘢痕組織を形成します。瘢痕組織による仮修復後、徐々に靱帯を構成する組織へと変化していくのです。この仮修復時期においては、本来の靱帯が持つ柔軟性や関節支持力よりも劣るため、僅かな外力でも再発しやすい状態にあります。このときに捻挫を繰り返して瘢痕組織を傷つけるとなかなか元の丈夫な組織にもどることができずに慢性化していくと考えられています。

捻挫後のリハビリが大切!!

捻挫後には、急性期の不動の影響として生じる筋生理学的な筋力低下のほか、腫脹が腱周囲に残存している結果生ずる機能的な筋力低下やROM(関節可動域)の低下がみられる。

そこでROMの回復に合わせて筋力の強化を行う。

腓骨筋群の筋力低下が、関節の不安定性と固有受容感覚の低下を引き起こす原因のひとつとされているので、腓骨筋群の筋力強化が足関節外傷の再発予防になるとされている。

実際のリハビリ風景

後脛骨筋の筋トレ写真 後脛骨筋の筋トレ写真
後脛骨筋の筋トレ

腓骨筋の筋トレの写真 腓骨筋の筋トレの写真
腓骨筋の筋トレ

前脛骨筋の筋トレ写真
前脛骨筋の筋トレ

バランス訓練の写真
バランス訓練

関節可動域訓練の写真 関節可動域訓練の写真
関節可動域訓練

RICE処置とは

RICE処置について・・・

捻挫などの外傷というのは、筋肉や血管の一部を損傷したり、出血したり、腫れたりします。外傷を起こした時に大切なことは、出血や腫れを最小限にくいとめることです。有効な方法は、冷やすことや圧迫することです。

外傷などを起こしたら、整形外科を受診することが大切なのですが、その場において素早い応急処置が、回復を左右しますので基本的な手当てだけは、是非覚えておいた方が良いでしょう。

この応急手当はRICE処置と呼ばれていて、4つの原則の頭文字をとった言葉なのです。

RICEとは、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の応急処置のことであり、この4つの処置の頭文字をとった言葉です。

ケガをすると患部は次のような状態になります。

  1. 組織が壊れる。
  2. 内出血や炎症が始まる。
  3. 腫れた状態になる。
  4. 腫れが筋肉や腱などを圧迫する。
  5. 動きが障害される。

RICE処置の目的は、(2)の内出血や炎症が始まる段階で抑え、腫れを最小限にすることです。 そして、生命の危険があるような緊急を要するものでなければ、病院に受診するまでの間、なるべく早くRICE処置を行ったほうが良いでしょう。タイミングが、早ければ早いほど回復は、良いといわれています。

Rest(安静)

『痛い!』『何かおかしい?』と感じたら、プレーを中断して安静にすることが鉄則です。

ケガをしたら、患部を動かさないようにすることが大切で、時には固定を必要とすることがあります。手近にあるテープや厚紙などを利用したり、上肢では三角布の代わりにタオルなどで固定しても良いでしょう。

患部は、受傷直後から痛めた部位の修復作業が始まります。しかし、安静にせず運動を続けることで修復が遅れてしまいます。その遅れが結果的に完治を遅らせることになるのです。

痛みがあるのにもかかわらず、そのままプレーを続けて患部を酷使すると、どんどんひどくなってきます。時には、新たなケガを発生させてしまう場合もあります。

選手は、無理にプレーを続けようとしますが、返って回復が遅れますので、自ら練習や試合を中断する勇気が必要です。

Ice(冷却)

ケガをしたら一刻も早く、患部を冷やしましょう。患部やその周りを冷やすと、血管が収縮し、痛みが軽くなり、内出血や炎症を抑えることができます。逆に温めると回復を長引かせてしまいますので温めないで下さい。

冷やすのに最も一般的に用いられるものは、氷(アイスパック、アイスノン、保冷材を代用する場合があります)です。氷をビニール袋か氷嚢の中に入れて患部にあてます。凍傷を防ぐため、患部に氷を直接あてずに、アンダーラップやタオルで巻いてからあてるようにしましょう。

冷やす時間は、20分を目安とします。患部に氷をあてていると、ピリピリとした痛みが出てきます。やがて温かくなり感じなくなったら氷をはずしましょう。そして、再び痛みが出てきたら氷をあてます。これを24~72時間の間に繰り返し続けます。

『20分冷やして40分休む』を基本にケガの程度にあわせてアレンジしていきましょう。

ビニール袋を使用して氷を詰める注意点は、底をできるだけ平らにし、空気を抜いてから上をしばるようにしましょう。

冷却に使用する用具の写真 湿布や冷却スプレーでは効果は認められない写真
コールドスプレーや湿布でのアイシング効果はほとんど見込めません。

Compresion(圧迫)

腫れを防ぐためには、圧迫が重要です。腫れがひどくなると、痛みが強くなり、それだけで治るのに時間がかかります。弾性包帯(伸縮包帯)やテーピングなどで患部を適度に圧迫しながら巻くといいでしょう。弾性包帯の巻き方の注意点は、患部の下から行い、心臓の方向にらせん状に巻きます。はじめは均等に、そして患部はややきつめにし、患部の上は徐々にゆるくします。

圧迫が強すぎると、血流を悪くしたり、神経を圧迫することがあるので、指先などをつまんで皮膚の色、感覚、温度をチェックし、巻く強さを加減しましょう。また、腫れがひどい場合は、圧迫用パッドを患部の大きさに合わせて切り取り患部にあて、その上から弾性包帯やテーピングで巻きます。これはアイシングと同時に行います。圧迫もアイシングと同様に腫れ上がる前に素早く行うことが必要で、アイシングしていない時も行うとよいでしょう。

Elevation (挙上)

受傷部位を挙上することは、止血に有効なだけでなく腫脹を抑制したり、発生した腫脹を早期にひかせたりするために大切である。患部を心臓より高く挙上し静脈還流を促します。受傷直後は言うまでもなく、腫れがあるうちは夜間だけでも患部を挙上しておくとよいでしょう。

アイシングしている写真 アイシングしている写真

固定している写真

疲労骨折

いろんな場所の疲労骨折がありますが、スポーツで多いのは下腿(脛骨)や足の骨が多いです。
きわめて軽微なものでは、レントゲン上はっきりしないものはいくらでもあります。
後に骨が太くなっているのを確認し、ようやくそれとわかる場合もあります。
骨シンチという検査が有用ですが、すべての人に行う必要性はありません。症状からも十分診断が可能な場合がほとんどです。

その他

骨折、靭帯損傷を含め、体の各部位に多数の疾患があります。
意外に成長期の体のアンバランスによるものが多く、ちょっとして指導で改善するものも山ほどあります。
放置したり、あきらめたりせず、一度相談していただければ幸いです。