岡崎にあります「はまな整形外科クリニック」でのスポーツによる肩関節障害(野球肩)にならないための予防知識をご案内します。

野球肩(以後、投球障害肩)の症状

投球障害肩といっても、その病態は多岐にわたります。

いわゆるインナーマッスルと称した腱板損傷、上腕二頭筋長頭障害、関節唇断裂、剥離(SLAP lesion)、肩峰下滑液包炎、骨端線離開(リトルリーガー肩)その他。
これらが単一病変のみならず、複雑にオーバーラップし痛みを生じることもあります。

リトルリーガー肩の写真 リトルリーガー肩
リトルリーガー肩(右:投球側 骨端線離解認める 左:非投球側 正常)

投球障害肩の部位

投球障害肩の部位の画像

投球障害肩はなぜ起こるのか?

一般的にはオーバーユース(使いすぎ)コンディショニング不足に関係してくるものが多いと思われます。

コンディショニング不足といっても、

  1. 柔軟性の低下
  2. 筋機能の問題
  3. 投球フォームの問題

などが考えられます。

野球肩ということで、肩ばかりに目がいきがちですが、椅子に座って肩だけでボールを投げても全くパワーが出ないことからも分かるように、投球は下肢から回旋を利用し、増幅されたパワーを肩へ伝達することによりなし得るのです。
よって、治療の面では上肢のみならず、下肢、骨盤、胸郭すべてにおいて行われるべきなのです。

投球障害肩の治療

はまな整形では大きく分けて、投球障害肩に対し2つのことに力を入れています。

1.関節可動域の評価と柔軟性の獲得

  1. 肩関節では屈曲、外転角度2nd内旋・外旋を主に評価します。
  2. 体幹では回旋を評価します。
  3. 下肢の柔軟性を評価します。

下肢の柔軟性をチェックしましょう!

  1. 膝をまっすぐ伸ばした状態で床に手が付きますか?
    (目標:床との距離 0㎝)
  2. うつぶせになり、踵がお尻に付きますか?
    (目標:踵とお尻の距離 5㎝以内)
  3. あおむけになり、一方の膝を伸ばし、もう一方の膝を曲げた時、膝が胸に付きますか?
    (目標:膝が胸にしっかり付くように)
  4. 立った状態から、踵を合わせ、踵を地面に付けたまましゃがむことができますか?

上記はどれも投球動作に必要な下肢の筋肉です。上半身だけでなく下半身の柔軟性が大切になります。

2.投球フォームチェック

では、鏡の前で自分の投球フォームをチェックしましょう。

1.ワインドアップ期

ワインドアップ期の写真

  • 軸足の膝が曲がっていないか。
  • 体が後ろに倒れてないか。

2.コッキング期

コッキング期の写真

  • ステップした足と膝が投球方向にむいているか。
  • 骨盤に対し両肩を結ぶラインが開いていないか。

3.加速期

加速期の写真

  • 肘の高さは両肩を結ぶラインより上にあるか。
  • ストライドの幅は適切か。
    (身長×0.85)

4.リリース期

リリース期の写真

  • ゼロポジションに近い位置で外旋位で保持できているか。
  • グラブの引き寄せは十分か。

5.フォロースルー期

フォロースルー期の写真

  • 上半身の中心点が踏み込んだ足の上まで移動しているか。
  • 投球側の前腕は回内位か。

投球障害肩の発生原因の多くは投球フォームの問題です。しかし、理想のフォームは、未だ統一した見解がないのが現状であります。
そのため、投球障害肩はスポーツクリニックでしっかりと治療することが大切です。
投球時の痛みが出たら、投球を中止し、自己判断せずに早めに受診しましょう!

野球肘

実際的な野球肘の分類

内側型 内側側副靱帯損傷、内側上顆骨端離開(リトルリーグ肘)
外側型 離断性骨軟骨炎
後方型 上腕三頭筋腱付着部炎、肘頭骨端離開、肘頭疲労骨折

ここでは、内側上顆骨端離開(リトルリーグ肘)、離断性骨軟骨炎について紹介します。

離断性骨軟骨炎(野球肘外側型)

  • 加速期前期における上腕骨小頭と橈骨頭との剪断力と圧迫力が原因。
  • 日常生活では痛みがないことが多く、発見が遅れます。
  • 早期(透亮期)に診断されれば、3か月~6か月の安静で治癒。
    (投球フォームだけではなく、バッティングフォームも禁)
  • ストレッチ指導とフォーム指導が必須!

離断性骨軟骨炎の画像
上腕骨小頭の骨軟骨透亮像

内側上顆骨端線離開(リトルリーグ肘)

  • 発育期(10歳からそれ以下で)には上腕骨内側に成長軟骨帯いわゆる骨端線というものが存在します。この部分は外力ことに牽引力に対して弱く、離開(剥離)をおこしてしまうことがあります。
  • 症状は、投球時痛、腫脹、屈曲拘縮。
  • フォーム指導が必須!時にギプス、装具による固定などを行います。

リトルリーグ肘の画像
リトルリーグ肘(左肘)
上腕骨内顆骨端線離開を認める。

単に投球中止ということは簡単ですが、すべての人がそういうわけにはいかないでしょう。しかし、投球禁止が必要な場合には、その旨を説明します。治療方針は、個々のプレースタイル(どうしても試合に出る必要がある等)を十分に考慮して決定します。

野球肘の治療

野球肘の治療は、場合によっては、ギプス固定、長期間の投球禁止、手術など症状、レントゲン、MRIなどによってさまざまです。しかし、そのような事態を招くのは、投球障害肩と同様、オーバーユース(使いすぎ)コンディショニング不足によるものがほとんどです。

そのため、投球障害肩と同様、治療の面では上肢のみならず、下肢、骨盤、胸郭すべてにおいて行われるべきなのです。
投球フォームなど、投球障害肩のページを参照してください。

野球を楽しむ子供たちのために・・・

よく、少年野球のコーチから「もっと肘を上げて投げなさい。」「肩、肘が痛くなるのは筋力が弱いからだ。」などと、指導されたために肘、肩の痛みが起きたと訴え来院されるお子さんがいらっしゃいます。

確かに、野球をするのはお子さん本人ですが、その周囲にいるのは大人たちなのです。痛みを起こしてしまう原因には、周囲にいる大人たちにもあると思います。今後は、周囲にいる大人たちの病態に対する知識、認識が必要になると考えます。

そういった知識、認識を情報提供できるスポーツクリニックでありたいと私たちスタッフ一同はあり続けたい・・・そう考える毎日です。


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