五十肩で思うように肩が動きません。動かさないで安静にしていたほうがいいですか?

五十肩というのは、肩関節周囲炎の俗称で40〜60歳代の人に多く、徐々に発病して肩の痛みと運動制限をきたします。痛みは寒いとき、夜間、また肩を下にして寝たときに強く、時には肘の方へ痛みが放散することもあります。これは肩関節を構成している関節包、靭帯、腱や筋肉などが慢性の炎症を起こしているためおこるものです。多くの場合肩を外転したり、後ろに回すと痛みが強くなります。治療としては痛みが強い急性タイプでは安静が必要です。さらに適切な痛み止め(湿布、飲み薬、注射など)をしつつ痛みが軽ければ温熱療法(ホットパック、電気など)をおこないますが、なにより運動療法が大切です。放置しておくと、関節の可動範囲がどんどん狭くなっていく場合もあります。消炎と同時に、早期よりストレッチを行っていけば、可動域制限を予防できます。なお、固くなってしまった肩関節も電気治療だけでは改善は乏しいです。積極的に運動療法を行うべきです。

肩の脱臼は癖になりますか?

肩関節は他の関節と異なり、骨による支えと覆いが少ないため、動かせる範囲が最も広い関節です。そのため、軟骨(関節唇といいます)と靭帯など柔らかい組織が防波堤となって上腕骨頭を支えています。ところが、肩を脱臼すると、関節を安定させていたこれらの組織が骨から剥がれてしまい、安定感が失われます。したがって、一度脱臼して整復・固定され治ったと思っていても、ちょっとした外傷で再び脱臼することがあるのです。しかも、初回脱臼の年齢が低ければ低いほど、再脱臼する確率は高く、10代では約60%、20代で約50%、30代で約25%、40代以上で約15%と報告されています。しかし、この10年近くの間に、脱臼後の固定法が改良された(三角巾などによる内旋位→装具による外旋位固定)ことにより、再脱臼率は低下しています。当院でも初回脱臼、かなり期間があいての再脱臼に対しては、外旋位固定を行います。